今日は毛糸の原料となるウール繊維のお話です。本当に上質なニットとはウールの品質(ランク)で決まります。
ここではウールのランクや表示の確認についてご説明しています。
ウールの品質・ランクとは?
ウール糸の品質・ランクは、繊維の細さの表示のマイクロン表示を目安として定めます。
そのマイクロンによって、エクストラスーパーファインメリノ、エクストラファインメリノや、スーパー100’S などの表示が付きます。
エクストラファインメリノとは?
エクストラファインメリノとは 主にセーターニットで使われるウールランクの表記です。
ウールは繊維の太さ(=マイクロン)が細い物ほど上質です。
太い羊毛から順に
ストロングメリノ>ミドルメリノ> ファインメリノ >エクストラファインメリノ > スーパー エクストラファインメリノ
となり、一番上質なのはエクストラスーパーファインメリノとなります。
繊維の太さを表すマイクロン(ミクロン)とは?
羊毛の繊維の太さはマイクロンという繊維の細さをもとに換算されています。
糸の太さは番手やデニール、デシテックスなどで表しますが、繊維の太さはマイクロンで表示します。マイクロンの数字が小さいほど繊維が細くしなやかです。
人間の髪の毛は70~80マイクロン
羊の毛は19~24マイクロン
カシミヤの毛は14~16マイクロン程度と言われています。
ウールランク
粗野な順から・・・
ストロングメリノ 23~25マイクロン
ミドルメリノ 20~22マイクロン
ファインメリノ 20~21マイクロン
エクストラファインメリノ 18.5~19.5マイクロン
スーパー エクストラファインメリノ 17.5~16.5マイクロン
一番細い繊維はカシミヤなのか?
一般的に流通しているものではカシミヤですね。中でもカシミヤベビーカシミヤといって赤ちゃん(4~5か月)から刈り取られた産毛は14μ以下(13.7マイクロンくらい)とされて、とってもしなやかでスベスベです。
しかし、もっとすごいのがいます。それはラクダ科リャマ属のビキューナで、なんと!10~14マイクロンと言われています。
カシミヤより繊維が細いビキューナが一番最高級と言えるでしょう。
とてもしなやかで繊細なため、セーターには不向きのようですが、むかしむかしは、大金持ちの社長さん達が着用した、まさにラクダシャツ(肌着)も作られた時代もあったそうです。肌着なのに30万とかしたらしい・・・!!
数は少ないですが、最高級のマフラーなどは今でも存在しています。
ARIANNA(アリアンナ)ビキューナソリッドストール VICUNA 18372201025
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楽天やAmazonにもありました!リンク先にはビキューナの画像もありましたが、短い毛ながらムクムクしてそうです。刈り取った毛なら私も触ったことがありますが、それはそれはスベスベでした!!カシミヤより細いというのが手触りでしっかり感じ取れました。すっごいお値段で私はとてもとても購入出来ませんが・・・。
市販のウールセーターは何マイクロン?
皆さんがよく着用されている薄手のウールのニットはちょっとしたブランドなら19.5マイクロン辺りでしょうか?いやいやけっこう21マイクロンくらいまで使ってますね。素材もよくないのにブランドっていうのも多々あります。すごく高級なものを着られている方で16.5~18.5マイクロンでしょう。正直な話し、19.5マイクロン以下はアピールにもならないので私たちも話に上がることも滅多にありません。
一昔前(20年くらい前)は19.5マイクロンでも高級梳毛などと言いましたが、現在はユニクロや、イオン系など有名巨大チェーンの量販店では、このグレードのウールはビックリするくらい安く売られているので、もう一格上の18.5μくらいにならないと高級という感じがしませんね。
有名巨大チェーンの量販店のニットは生産工場は奥地奥地の人件費が安いところで作られますが、糸自体は下手なブランドよりも、ちゃんとした糸を使っていることが多いです。
こうした安いニットで個人的に気になるのは、アームホールや袖山の減らし目の回数書きが大雑把なことと、ボタンが安っぽいことくらいで、価格に対して素材はとてもよい事が多いと思います。
よい素材とは言っても最高級ほどの糸までは使ってないので、耐久性もそこそこあり日常着にはおススメです。(最高級の糸は繊細なので耐久性はありません)
スーパー表示とは?
マイクロンを元に決められたエクストラファインメリノなどの表示は主にニット(セーターなど)の話でした。
コートや服地など織物になるとスーパー表示と言うものになります。
スーパー100’Sとは?
スーパー100’Sなどはスーパー表示と言われます。
主にコートや紳士服など織物で使われるウールランクの表示です。コートなど重衣料には表示が付いていることも多いです。
コートとかでこんなの ↓ ↓ ↓ 見たことありませんか?
スーパー表示とマイクロンの相対表
ニットで使用するマイクロンと、織り物で使用するスーパー表示の相対表を見てみましょう。
X Value | 平均繊維直径(μ) |
---|---|
表示なし | 20.0μ以下 |
Super 80’S | 19.5μ |
Super 90’S | 19.0μ |
Super 100’S | 18.5μ |
Super 110’S | 18.0μ |
Super 120’S | 17.5μ |
Super 130’S | 17.0μ |
Super 140’S | 16.5μ |
Super 150’S | 16.0μ |
Super 160’S | 15.5μ |
Super 170’S | 15.0μ |
Super 180’S | 14.5μ |
Super 190’S | 14.0μ |
Super 200’S | 13.5μ |
Super 210’S | 13.0μ |
Super 220’S | 12.5μ |
Super 230’S | 12.0μ |
Super 240’S | 11.5μ |
Super 250’S | 11.0μ |
*2012年1月1日製造分から適用。
スーパー表示規定は国際羊毛繊維機構(IWTO)でたまに見直しされます。見直しされたことがありますが、基本的にはかわらないそうです。
こちらの表は第80回 年次総会(2011年5月8~11日、中国・杭州)で発表されたもの。
表には11.0μまで書いてありますが、現実的には羊毛では存在しないと思うのですが念のためってことでしょうか?
IWTO 国際羊毛機構とは
1927年設立。ベルギーのブリュッセルに本部がある。各国の牧羊業者、羊毛商社、加工業者、紡績業者、織物業者、服飾関係者などを会員とする機構です。