一般的にはあまり馴染みのない言葉ですが、毛糸の情報を見ていると出てくる“長繊維”と“短繊維”(または“フィラメント”と“ステープル”)という言葉があります。
繊維の専門用語なんでしょうけど、いったい長繊維と短繊維とは何なんでしょうか?
今回はちょっと専門的な話をご紹介します。
長繊維(=フィラメント)とは?
原料段階の繊維の長さを表す言葉。
長繊維とは何もしない状態ではきわめて長い繊維のこと。
英語ではフィラメントファイバーと言います。略してフィラメントと呼ばれます。
長繊維(=フィラメント)だけを引き揃えるだけで糸にすることが出来ます。そこで出来た糸を長繊維糸と言います。
シルク(絹)だけが長繊維(=フィラメント)
天然繊維では“シルク(絹)”だけが長繊維(=フィラメント)です。
短繊維(=ステープル)とは?
原料段階の繊維の長さを表す言葉。
短繊維とは何もしない状態では長さが短い繊維のこと。
英語ではステープルファイバーと言います。略してステープルとかスフと呼ばれます。その他、スパン糸とも言われます。
短繊維(=ステープル)だけでは長い糸が作れません。方向を揃えて紡績して繊維と繊維を重ねて撚りをかけることで、やっと糸にすることが出来ます。そこで出来た糸を紡績糸と言います。
シルク(絹)以外全部が短繊維(=ステープル)
天然素材では“コットン(綿)”“ウール(羊毛)”など、“シルク(絹)”以外の全ての繊維が短繊維(=ステープル)です。
補足
昔は天然繊維しかありませんでしたが、今では様々な化学繊維(再生繊維や合成繊維)が存在します。
化学繊維は再生繊維も合成繊維も、作る工程上 一旦はすべて長繊維になりますが、化学繊維は長繊維を短く切断して短繊維にすることが出来るので長繊維、短繊維のどちらも存在します。
例えば、再生繊維のレーヨンはフィラメントレーヨンとスパンレーヨンがありますが、一旦、フィラメントレーヨンにしたものを再加工でスパンレーヨンにしているのです。
まとめ
天然繊維の原料段階では“シルク(絹)”だけ長繊維。それ以外の天然繊維は全て短繊維。
化学繊維は短繊維も長繊維もどっちもあります。