毛糸の太さは、日本の手芸の世界では『並太』『中細』など大まかに分類した糸の太さタイプが使われていますが、世界中の繊維業界では『番手』というもので表現されます。
番手と言ってもいくつか種類があって、毛番手、綿番手、麻番手があります。また番手という言葉ではないですが、素材によっては、デニール、テックス、デシテックスというものがあります。
ここでは、番手の種類や違い、読み方、覚えた方がいい計算式などご紹介します。
番手とはなんぞや?と悩まれている方は参考にして下さい。
番手とは?
繊維業界のプロの世界で、世界共通で使われる糸の太さの目安です。
番手は数字が
- 大きいほど 細く!!
- 小さいほど 太い!!
です。
(タイツなどのデニールは逆に大きいほど太いです)
太さの目安はこちらを参考にして下さい。
太さタイプ | 番手目安 |
---|---|
超極細 | 13番手以上 |
極細 | 8~13番手 |
合細 | 5~7番手 |
中細 | 4~5番手 |
合太 | 2.5~4番手 |
並太 | 1.7~2.5番手 |
太 | 1.5~2番手 |
極太 | 1~1.8番手 |
極々太 | 0.4~1番手 |
超極太 | 0.4番手以下 |
超々極太 | 0.2番手以下くらいか? |
工業用毛糸は、もっと細い30番手(2/60)とか、40番手(2/80)とかありますが、手芸用に流通していませんので、太さタイプの呼び名がありません。
あえて言うなら超極細に含まれるのでしょうが、一般的な超極細よりもっともっと細いです。
番手とは糸の太さではない!?
ここで衝撃の事実。
番手とは “糸の太さを表す” ものですが、正確には糸の太さではありません。
え!?
そうなの?って思いますよね。
残念ながらそうなんです。
“毛番手” とは“メートル番手”とも言い、1kg(1.000g)のときに1.000mを1/1(イチバンタン)を基本として、糸の重さが1kg(1.000g)ときに何メートルあるか?というものです。
??? ですよね?
番手とは、重さに対してどのくらいの長さがあるのかを、一定の計算式で表した糸の太さの目安です。
撚りが甘いと ふんわりしてて太くても軽いし、撚りが強いと 詰まってて細くても重いし、綿やウールは重いけどアクリルは軽かったり・・・。毛糸の形状は様々です。そのため、同じ長さで同じ重さだったとしても見た目の太さは違うのです。
紡績方法で番手は変わる
素材によって紡績方法が変わり、紡績方法により番手の表示方法が変わります。
番手という言い方では、毛番手、綿番手、麻番手などがあります。
その他、また、番手という言葉はつきませんが、デニール、テックス(デシテックス)なども糸の太さを表す番手の仲間です。
デニール、テックスって、番手と何が違うの?
ウール、コットン、麻など、スパンヤーン(短繊維)は恒重式で番手表示となります。
シルク、化学繊維などの、フィラメントヤーン(長繊維)は恒長式でデニール表示というものになります。
・・・何てややこしい!!ってことで、どの素材も同じ表示に統一しよーよーって、こちらの新しい恒長式も生まれました。
全ての素材に使える=デシテックス(dtex)、テックス(tex)
統一しようと試みたらしいのですが、長年慣れ親しんだ番手が使いやすいのか?結局、デシテックスはあんまり使われなくて、更に種類が増えてしまっただけでした。
毛番手と綿番手って何が違うの?
同じ番手という言葉でも、素材により紡績方法が異なり、紡績方法により番手表示も異なります。
- ウール=毛番手
- コットン=綿番手
- 麻=麻番手
となりますが、例外もあります。
- ウールが入っていても綿の紡績機で紡いだのなら綿番手
- コットンが入っていてもウールの紡績機で紡いだのなら毛番手
3つの計算式を覚えればOK
毛番手、綿番手、麻番手、、デニール、テックス、デシテックス・・・。
そんなに色々あったらわけわからないし、覚えられませんよね?
大丈夫です!じつは 全部覚えなくても大丈夫 なんですよ!!
通常使うのは 毛番手、綿番手、デニールだけ の3種類だけで大抵は事足りてしまいます!
なので、まずはこの3つの計算を覚えておけば安心です。
- 毛番手=綿番手 × 1.7
- 綿番手=毛番手 × 0.7
- デニール=9000÷毛番手(毛番手=9000÷デニール)
番手の計算について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
市販毛糸の番手の調べ方
番手はメーター÷グラムで計算することが出来ます。
市販の毛糸1玉の場合 グラムとメーターが書いてありますよね?そちらを見て計算しましょう。
メーター÷グラムで計算する
では例題をひとつ
(質問)1玉 50グラム / 25メーター の毛糸の番手はいくつ?
(考え方)25÷50=0.5
(答え)0.5番手(1/0.5とも書く)
メーターグラムが不明のときは
工業さんから購入したり、メーターやグラムがわからない毛糸の番手が知りたいときはこちらの記事が参考になります。
計算するのが面倒くさい時は
計算とか面倒くさ~い!って方はこちらの一覧表で見てみてね。
番手の読み方
単糸(1本だけで撚られた糸)
人によって言い方が様々あるのですが、黒太文字が元番手の読み方。赤太文字が本数の読み方です。
- 1/30 サンマルタンシ、サンマルタン
- 1/3 サンバンタンシ、サンバンタン
双糸(2本で撚られた糸)
市販の毛糸で言うと『2プライ』とか『ツープライ』ってありますよね。英語ならそれの事です。
日本の繊維業界では人によって言い方が様々あるのですが、黒太文字が元番手の読み方。赤太文字が本数の読み方です。
- 2/48 ヨンパチソウシ、ヨンパチソウ、ヨンパチ(2は略して読まない)
- 2/30 サンマルソウシ、サンマルソウ、サンマル(2は略して読まない)
など・・・と読みます。
同じ『ツープライ』と言っても、元糸が何番手の毛糸を使ったかで太さは変わります。
タン(単糸)やミッコ(3本)など本数を省略している場合、例えば “ヨンパチ” “サンマル” などは、双糸というのが暗黙の了解となっています。
3本以上の多本取りで撚られた糸
市販の毛糸で言うと『3プライ』とか『スリープライ』ってありますよね。英語ならそれの事です。
日本の繊維業界では人によって言い方が様々あるのですが、黒太文字が元番手の読み方。赤太文字が本数の読み方です。
- 3/30 サンマルミッコ
- 4/30 サンマルヨッコ
など・・・と読みます。
これは3本とか4本を撚糸して出来ている毛糸という意味なんです。
なので、元糸が何番手かによって、同じ「スリープライ」「フォープライ」でも上がりの太さはかわります。
注意1 毛番と綿番では読み方は同じでも書くと違うし太さも違う
毛番手と綿番手では、文字に書いたときは分母と分子の書き方が逆という違いがあるので、綿か毛かわかります。
- 毛番手 2/30 (サンマルソウと読む)
- 綿番手 30/2(サンマルソウと読む)
どちらも言葉にすると同じ「サンマルソウ」と読みますが、毛番手と綿番手では太さも違うので注意して下さい。
注意2 編むときの糸取り本数とは別の話
番手の(撚糸して出来る)双糸の2本取りと、編むときの取り本数の2本取りがあります。
編むときの糸の取り本数を表現する場合は、以下のように読んで下さいね。
2本取りで編む
「二本取り(ニホンドリ)」や「2PLY(ツープライ)」と言います。(英語の場合は撚糸もツープライですが)
2/48( ヨンパチソウ) を2本取りなら 2/48 2PLY と書きます。
人によって言い方が様々あるのですが、黒太文字が番手の読み方。赤太文字が糸取り本数の読み方です。
- ヨンパチソウ ニホンドリ
- ヨンパチソウ ニホン
- ヨンパチ ニホン
- ヨンパチ ツープライ
3本取りで編む
「三本取り(サンボンドリ)」や「3PLY(スリープライ)」と言います。(英語の場合は撚糸もツープライですが)
3/30(サンマルミッコ) を3本取りなら 3/30 3PLYと書きます。
人によって言い方が様々あるのですが、黒太文字が番手の読み方。赤太文字が糸取り本数の読み方です。
- サンマルミッコ サンボンドリ
- サンマルミッコ サンボン
- サンマルミッコ スリープライ
まとめ
ここでは、番手の種類や違い、読み方、覚えた方がいい計算式などご紹介しました。
参考になれば幸いです。