梳毛・紡毛の読み方から特徴・見分け方など ご説明します。
毛糸や生地などの話で、梳毛とか紡毛とかって出てきますよね?いったいどんな違いがあるんだろう?
わたしは20年以上、婦人服や子供服のニットデザイナーをしてきました。
工業毛糸の糸屋さんで働いたこともあるので、一般の方より少しは専門知識があります。
そ・こ・で!
梳毛・紡毛の読み方から特徴・見分け方などまとめてみました。
梳毛糸って?紡毛糸って?違いや見分け方はあるのかな?と、思っていた人は参考にして下さい。
紡毛とは?
読み方は?
紡毛=「ぼうもう」と読みます。
英語では?
紡毛は英語でWoolen(ウーレン)と言います。
特徴
コーミングしていない粗野な毛糸
人間の髪の毛で言うなら、手ぐしでざっと束ねられたルーズアップスタイルみたいな感じね。
梳2.5cmなど比較的短い繊維の原毛を、コーミングを行わずに、繊維の向きが揃わないまま紡いだ糸のこと。クリンプ(縮れ)も残りふくよかで、撚りが甘く太い、毛羽のある糸が出来ます。
あまり細い糸は出来ません。(市販毛糸でいう極細くらいは出来ますが)。
紡毛は工程が少ないのと、梳毛で捨てられる原料も使うので価格は安くなります。
見分け方
ふっくらとした毛羽だった感じの毛糸です。
ニット商品で言うとカシミヤやアンゴラ混のセーターなどに多いです。
かといってカシミアだから必ず紡毛ではなく、梳毛引きのカシミヤもあります。ポイントは毛がふっくらボワボワしてほんわかした感じなら紡毛です。
とは言え、明らかにわかりやすいものもありますが、紡績のプロだって「これ紡毛引き?」などと聞いたりするぐらい、どっちだかわからない物も多いです。
生地で言うと、ジャケットやコートなどに使われることが多く、フランネルとかツイードとか温かみがあったり粗野感が残るものです。
梳毛とは
読み方は?
梳毛=「そもう」と読みます。
英語では?
梳毛は英語でworsted(ウーステッド)と言います。
特徴
コーミングしてキレイになった毛糸
人間の髪の毛で言うなら、きちんとブラッシングしてから束ねられたアップスタイルね。
5cm以上の比較的長い繊維をよく梳いて、繊維を直線方向に引き伸ばすのと同時に、繊維を平行状態に配列してから撚りをかけて糸としたもの。撚りが強く、細くてツヤのある糸が作れます。
梳毛は工程が多く、高級糸だと2回以上コーミングしているので工賃も上がります。
見分け方
高級なものほど手触りがよくツヤやかです。
よくあるニット商品でいうとハイゲージ(目の細かい)で目がきれいなツルっとした薄手のシンプルなタートルネックやカーディガンなどは梳毛です。
とは言え、明らかにわかりやすいものもありますが、紡績のプロだって「これ紡毛引き?」などと聞いたりするぐらい、どっちだかわからない物も多いです。
生地で言うとギャバン、サージなどスーツなどに使われる滑らかな生地が梳毛です。
梳毛糸と紡毛糸は紡績工程がちょっと違う
梳毛糸では必ず入るコーミング(クシで梳かす作業)が入らないのが紡毛糸です。
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余談?
手紡ぎを何回か習いに行ったことがありまして、梳毛と紡毛もやったのですが、わたしが繊維業界で聞いているのとちょっと違うように感じました。
繊維業界で紡毛と言えば、短い繊維で作ると聞いていましたが、手紡ぎの世界ではどちらも同じ原料を使用し、同じく梳毛工程もして、紡毛だけ追加の工程が加わりました。
(会社の紡績のプロに聞いたら「要は一緒」と言われましたが・・・。)
長い歴史では手紡ぎから始まったのですから、手紡ぎの方がおっしゃるのが元なのでしょう。紡績業界では利益追求して工業的に作っていくと原料を変えたという事なのかな?
まとめ
梳毛と紡毛についてまとめました。
簡単に言うと・・・
- コーミングしてキレイになった毛糸を梳毛糸(そもうし)と言い、特徴はツルッとすべらか。
- コーミングしていない粗野な毛糸を紡毛糸(ぼうもうし)と言い、特徴はボワボワ毛羽立った感じ。
梳毛糸って?紡毛糸って?違いは何かな?見分け方は?と思っていた方の参考になれば幸いです。